自著『スリップの技法』がもうすぐ発売されます。

今日10/24(火)から、自著『スリップの技法』神楽坂モノガタリにて先行発売します。ご注文くださった全国一般書店へは、10/30から出荷開始します。


この本は、書店員という仕事の面白さ、書店という場の面白さを「自分の手で作り直そう!」という思いで、具体的な手法や仕組みを書いたものです。これまで僕が学び、考え、実践してきた書店の仕事を振り返り、できる限り細かく描写しました。

そこではスリップがとても重要な役割を持っています。スリップに情報を自分で書き込み、売れた書籍のスリップを読み取ることで、書店員は売場の棚や平台いっぱいに並んだ書籍を自分の手の内のものとして自在に編集することが出来ます。それを、100枚以上のスリップの実例を挙げて解説しました。実例集に使用したスリップは、複数の書店で実際にお客様が買ってくださった本から抜き取ったものです。そのスリップには、僕がいつもそうしているように、たくさんのメモが書き込まれています。

(↑本書には収録しなかった最近の神楽坂の例)

そのメモは、品揃えや同僚とのコミュニケーションなど、仕事のあらゆる要素について考えを巡らせた痕跡です。それをたどりながら、書店の仕事の全体像を描き出します。

この本に書いたことは、あくまで僕自身の個人的な経験です。おそらく具体的な手法の面では、多くの書店員の方々が「私には別のもっといいやり方がある」とお思いになることと思います(それをぜひ広く共有させてください)。でも、僕の手法もぜひ試してみてください。スリップを使わずPOSデータで売場を管理している書店のみなさんにも、きっと役立つ「仕事のコツ」を見つけてもらえるはずです。それ以上に、個別の手法を積み上げた先に、普遍的な要素を読み取ってくださることを期待しています。

僕は、一点一点の書籍、ひとりひとりのお客様という個別具体的な存在を、できるだけ抽象化せずにたくさん視野に入れて考え、売場の中にその思いを組み込み、出会わせ、お客様の知的興奮を掻き立てたいと考えています。同時に、商売としての効率も求めたい。そのために、今いちばん使える道具がスリップだと考えています(が、もしデジタルネイティヴな若い書店員がそれをサラリと既存のPOSシステムでやってのけるのなら、それも見てみたい)。この本が、書店の仕事の基本を問い直す議論のきっかけになることを願っています。

仕事で書店に関わる方々だけでなく、お客さまにとっても、書店の楽しみ方を再発見するきっかけや、次にどんな本を読もうかと売場を散策するヒントなると思います。

どうぞ、お手にとってみてください。

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